ドンキーの部屋

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『東洋医学』五臓六腑の機能と働き

第4弾になる今回は東洋医学における五臓六腑の機能や働きについて説明します。

臓腑の概要
前の記事でも説明した通り、臓腑はその性質と機能から六臓六腑に分けられています。六臓が肝,心,脾,肺,腎,心包であり、六腑は胆,小腸,胃,大腸,膀胱,三焦です。
臓腑の簡単な分別法は、臓が根本的な体調の調節に、腑が食物の受納と排泄に関与するものと考えてください。
ちなみに臓でもなく腑でもない特殊な臓腑を奇恒の腑といい、それには脳,髄,骨,胆,子宮,脈などが含まれています。

前回の記事はこちら↓
donngy.hatenablog.jp
目次


各臓腑の生理機能が損なわれると各臓腑に由来する特徴的な症状が現れてきます。
以下各臓腑ごとに説明していきます。

六臓の機能と働き


六臓の肝,心,脾,肺,腎,心包にいてそれぞれの生理機能と病理変化についてまとめいきます。

肝の機能

肝は第9胸椎に付着していて右脇にあります。
・背部兪穴の肝兪
第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分
※ツボの名前とその部位です

1.血を蔵す
肝は身体各部の血液量を調節します。この機能失調により目が乾燥したり、筋がつったり、月経血量が減少または無月経となります。
また、五行の関係からこの機能失調は五華の爪に出ると言われています。

2.疏泄を主(つかさど)る
肝は気の流れを円滑にし身体各部の機能を発揮させます。この機能失調によりイライラしたり怒りっぽくなったり、抑鬱状態になります。上に同じく五行の五志から怒りにより肝は傷害されます。

心の機能

横隔膜の上にあって第5胸椎に付着しています。
・背部兪穴の心兪
第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

1.心は血脈を主る
心には循環作用があります。この機能失調により心臓痛や動悸などの循環症状がおこります。五行の五華より面(顔)が蒼白になることでわかります。

2.心は神を蔵す
精神・意識活動を正常に行わせる作用があります。この機能失調により、不眠や健忘などの症状がおこります。

脾の機能

第11胸椎に付着しています。
・背部兪穴の脾兪
第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

1.脾は運化,昇清を主る
消化された飲食物から吸収した栄養を全身に供給する作用を運化といい、吸収した栄養物や水分を肺に輸送する作用昇清といい、脾はこれを主っています。
運化の機能失調により、食欲減退や軟便などの症状が出ます。
また、五行の五液や五官から口や唾液に対応しているので、味覚が鈍ったり唾液が減少することで食欲に直で影響してくることになります。

2.脾は統血を主る
脾は血脈内の血が外に漏れないようにしています。これを統血といい、この機能が失調する事で、皮下出血や血便、月経過多などを起こします。

肺の機能

第3胸椎に付着しています。
・背部兪穴の肺兪
第3胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

1.肺は気を主る
呼吸機能を調節します。この機能失調により、呼吸困難や息切れなどが起こります。

2.肺は水道を通調する
肺は宣散粛降を主ります。
宣散とは脾・胃から送られてくる体液を体表に巡らせることで、粛降とはその体液を腎へ、そして膀胱に降ろすことです。これらにより体内の水分の代謝を行っています。
この機能失調により、浮腫や尿量の異常、発汗異常などの症状が起こります。

3.肺は治節を主る
治節とは、管理・調節という意味で、肺の機能をまとめて表したものである。

腎の機能

第2腰椎に付着します。
・背部兪穴の腎兪
第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

1.腎は精を蔵す
腎は先天の精を蔵し、先天の元気を宿します。腎精の盛衰により、人体の発育や成長、老化がおこります。
この事から慢性的な腰痛は腎の失調であることが多いです。

2.腎は水を主る
有用な水を腎臓で再吸収し、不要な水分を膀胱へ送り排泄します。水分の代謝脾,肺とともに行います。この機能失調により尿量が減少したり、浮腫が起こります

3.腎は納気を主る
息を吸うときには腎が作用します。呼気は肺です。

心包の機能

心包は心の外側を包んでいる膜のことで、心を保護しています。現代でいう心外膜のことになります。


六腑の機能と働き

次に六腑の胆,小腸,胃,大腸,膀胱,三焦の生理機能と病理変化についてまとめていきますが、六臓に比べればとてもシンプルで、簡単です。

胆の機能

胆は腑であり奇恒の腑でもあります。
第10胸椎に付着します。
・背部兪穴の胆兪
第10胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

・胆の働き
胆は胆汁を貯蔵し、小腸に排泄する事で消化吸収を助けます。
また胆は勇気や決断を主ります。

小腸の機能

小腸は第1仙椎に付着しています。
・背部兪穴の小腸兪
第1仙椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

・小腸の働き
小腸は胃で消化された飲食物を受け取り、その清濁を分けます。

胃の機能

第12胸椎に付着しています。
・背部兪穴の胃兪
第12胸椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

・胃の働き
胃は食物を受納し、腐熟し小腸へ消化物を送ります。
また脾と協力して栄養を吸収し水穀の気として肺へ送ります。

大腸の機能

大腸は第4腰椎に付着します。
・背部兪穴の大腸兪
第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

・大腸の働き
大腸は小腸から食物の残滓を受けとり、大便として体外に排出します。

膀胱の機能

膀胱は第2仙椎に付着します。
・背部兪穴の膀胱兪
第2仙椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

・膀胱の働き
膀胱は全身を巡った水分を尿として溜めて排泄します。
なお、東洋医学では尿は小腸で分別された水と全身を巡った津液が染込むときに気の作用で尿に変化すると考えられていますが、腎臓で作られ膀胱に送られると考えて間違いありません。

三焦の機能

三焦名のみありて形なしと記され、その形態は明らかにされていません。
・背部兪穴の三焦
第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、外方1寸5分

三焦
上焦(横隔膜より上の部)
中焦(横隔膜と臍の間)
下焦(臍より下の部)からなります。
三焦は水に関わります。


まとめ

今回の記事ではそれぞれの臓腑が単独で作用することはなく必ず隣接する臓腑と連携をとっている事がわかります。
また、上記目次がそのままその臓腑の働きのまとめになっています。

さいごに

今回は東洋医学における五臓六腑の機能と働きについて説明させていただきました。
次回は西洋医学における実際の五臓六腑の働きについて説明していきたいと思います。
本日は最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回にお会いしましょう。

東洋医学の概要については
↓↓↓↓
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