ドンキーの部屋

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【五臓六腑】人体のしくみと臓腑の働き

第5弾の今回は西洋医学における人体での臓腑の働きについて、循環器系と消化器系に大別して説明していきます。

前回の記事では東洋医学における臓腑の働きについても説明しているので良ければ覗いていってください。
前回記事はこちら↓↓↓
donngy.hatenablog.jp

では本題です。先ずは臓腑の簡単なイメージ図をご覧ください。

人体の内臓の配置図です。
臓腑 前面からの図

この図は向かって右上に胃、少し胃に覆い被さって左上にある肝臓、中央でグニャグニャしているのが小腸、小腸を囲うようにしてあるのが大腸です。
その他の臓腑の位置はそれぞれの項で説明していきます。

目次

循環器系

まずは循環器系です。血液の循環に関与する臓器とその働きを説明していきます。

肝臓の働き

肝臓は右上腹部、横隔膜に上部を包まれています。
※横隔膜は呼吸に関わる筋肉です。肝臓と胃の上にあり、肺の下にあります。

また、血液は門脈から肝臓へ入り下大静脈へ注ぎます。
門脈→肝臓→下大静脈

物質代謝

肝臓は身体に必要な物質に合成したり、分解する役割があります。以下代謝する物質とその必要性の説明です。

・糖の代謝<
小腸で吸収された単糖類であるグルコースは肝臓に入り、その多くが多糖類のグリコーゲンに合成されて肝臓内に溜めておきます。そして血液中のグルコースが低下し低血糖になると、グリコーゲンは分解されてグルコースになり血中に放出されます。

<・タンパク質代謝
グルコースと同じく小腸から吸収されたアミノ酸から各種タンパク質を合成します。代表例として血漿タンパク(血液の中を流れるタンパク)であるアルブミンフィブリノゲンが挙がります。
また、アミノ酸を別のアミノ酸に作り替えたり、要らなくなったアミノ酸を分解して生じたアンモニア尿素に変えて無毒化する作用も持ちます。

・脂質代謝
脂肪を合成分解したり、コレステロールを生成します。

その他代謝
各種ビタミンや無機質を貯蔵放出します。
また、ホルモンの前駆物質を作り、変換し、ホルモンの不活性化も行います。

・胆汁の生成
胆汁酸と胆汁色素から胆汁を生成し、小腸での脂肪の吸収を助けます。

・解毒作用
血液中の有害物質を無害化します。また、薬物やアルコールの代謝もおこないます。

血液凝固に関与する因子の生成

血液凝固に関わるフィブリノゲンやプロトロンビン、それと血液凝固を阻害するヘパリンなどを生成します。

血液の貯蔵

全血液の約10%を貯蔵することで、循環血液量を調節し、出血等で血液量が不足したときには肝臓に蓄えている血液を放出します。

生体防衛作用

クッパー細胞と呼ばれる白血球のひとつによる食作用によって血液中の異物を取り除きます。

心臓の働き

心臓は人体のほぼ中心にあり、少しだけ左側に傾いています。
心臓は血液を送り出すポンプ作用があります。

血液循環

心臓は大きく4区画に分けられ、右上に右心房、右下に右心室、左上に左心房、左下に左心室があります。
全身を巡った血液が右心房に入りそこから右心室へ送られ、その後肺へ巡ります。そして肺から左心房へ入り左心室に送られ全身へ循環していきます。
全身→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身

脾臓の働き

脾臓は図の向かって右側、左上腹部で胃の裏側、横隔膜に接する位置にあります。
老化した赤血球,白血球,血小板の破壊します。また血液貯蔵、血液濾過の役割を果たし免疫系をなす人体で最も大きいリンパ系器官でもあります。
また、下腹動脈等から脾臓を通過した血液は門脈に合流していきます。
下腹動脈→脾臓→門脈
※下腹動脈が脾臓へ注ぐ最も大きい動脈です。

肺の働き

心室から出た血液は全身を循環する中で酸素を消費し二酸化炭素の濃度が高くなります。二酸化炭素濃度が高くなった血液が肺にくると息を吸うことにより取り込まれた新鮮な空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。そして酸素濃度が高くなった血液が左心房に送られることになるのです。
心室→肺→左心房

腎臓の働き

腎臓は腰部背側に1つずつ、右は肝臓の下、左は脾臓の下にあります。ただし肝臓が脾臓に比べて大きいため少しだけ右腎臓の方が低い位置になります。

腎臓で血液をろ過し、要るもの要らないものを分けて尿を生成します。また体液や電解質等の濃度調節する働きがあります。
血液は腹大動脈から腎臓に入り、下大静脈に注ぎます。また、ろ過された尿は尿管を通って膀胱へ送られます。
       →下大静脈
       腹大動脈→腎臓↕
       →尿管→膀胱

体液の調節

水分の排泄を調節することで体液を一定に保ち、電解質の排泄を調節することで体液の浸透圧を一定に保つ働きをします。また、水素の量を調節することで体液のpHを一定に保つ役割もあります。

不要物質と有用物質の取捨選択

尿素や尿酸のような尿で処理する他ない不要物質を排泄します。また、ろ過されてしまうグルコースアミノ酸などの有用物質を体内に再吸収し保持する作用もあります。

ホルモンの産生と分泌

エリスロポエチン、レニンなどのホルモンを産生・分泌します。
エリスロポエチンは赤血球の産生促進させ、レニンはレニンが多く分泌されることにより体液量を増加させ血圧を上げる作用があります。

消化器系

次は消化器系です。食物が体内に入ってから排泄されるまでに関わるものを説明します。

口腔の働き

食物をすり潰し、アミラーゼの作用により炭水化物(デンプン)を麦芽糖に変化させ、ムチンにより粘り気を与え胃へ送り易くします。

胃の働き

胃は中心にあるイメージがありますが、画像の通り肝臓の分だけ左によっています。

胃液の主成分は3つです。

ペプシノゲン
胃から分泌されるペプシノゲンが塩酸の作用によりペプシンとなりたんぱく質をペプチドにします。

・塩酸
ペプシノゲンペプシンにして、それを活性化します。
胃の中の殺菌消毒作用があり、十二指腸のセクレチンの分泌を促進作用も持ちます。

・ムチン
胃粘膜を覆い、酸性を持つ塩酸から胃壁を守ります。

食物は胃の次に小腸へいきます。

膵臓の働き

次に膵臓の働きです。膵臓は消化酵素とホルモンの二種類を分泌します。

消化酵素

膵液には次の消化酵素が含まれます。

・アミラーゼ
デンプンを麦芽糖に分解します。

・トリプシン,キモトリプシン
タンパク質をペプチドに分解します。

・リパーゼ
脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解します。

・ヌクレアーゼ
核酸を分解します。

膵臓のホルモン

膵臓のホルモンはランゲルハンス島と呼ばれる部位から分泌され、α細胞、β細胞、δ細胞の3種類の細胞に大別されます。
α細胞はグルカゴン
β細胞はインスリン
δ細胞はソマトスタチンを分泌します。


・グルカゴンの生理作用
肝臓でのグリコーゲンからグルコースへの分解をして血糖値を上昇させます。

インスリンの生理作用
インスリンは血中のグルコースの細胞内への取り込みを促進し、またグルコースをグリコーゲンへ変換して血糖値を下げます。


・ソマトスタチンの生理作用
ソマトスタチンはインスリンやグルカゴンの分泌を抑制します。

胆嚢の働き

胆嚢は肝臓で作られた胆汁を蓄え、その分泌を調節を行います。
胆汁は小腸での脂肪の吸収を助けることが主な役割で、膵液と一緒になって小腸の前半である十二指腸へと送られます。

小腸の働き

腸液の成分には多くの消化酵素といくつかのホルモンが分泌されます。また、小腸では単糖類,アミノ酸,脂肪,水と電解質を吸収します。

消化酵素

小腸の消化酵素は5つあります。

・アミノペプチダーゼ
ペプチドをアミノ酸に分解します。

・マルターゼ
マルトース(麦芽糖)をグルコースに分解します。

・スクラーゼ
スクロース(ショ糖)をグルコースとフルクトース(果糖)に分解します。

ラクターゼ
ラクトース(乳糖)をグルコースガラクトースに分解します。

・エンテロキナーゼ
膵液中のトリプシノゲンを活性化してトリプシンにします。

ホルモン

主なホルモンは以下の2つです。

・セクレチン
胃液の分泌を抑制し、重炭酸ナトリウムに富む膵液の分泌を促進し、胃液の中和を図ります。

・コレシストキニン
消化酵素に富む膵液の分泌を促進し、胆嚢の収縮を促す作用もあります。

大腸の働き

大腸の腸液に消化酵素はないが粘性に富み、粘膜を保護し内容物の移送を容易にします。
また多数の常在菌が存在し消化しきれなかったものを分解する働きがあります。

さいごに

今回は実際の臓腑の働きについて簡単にまとめました。これはあくまでもおおざっぱなもので、本当はさらに細かい仕事を多くしてくれています。そこまで説明していると肝臓だけでもこの記事以上の分量になってしまうので今回はこの程度にしておきました。
また機会があれば細かく説明することもあるかもしれません。

今回は消化に関わるホルモンが少し出て来たので、次回はホルモンとは何なのか、その種類と働き、放出する部位についてご紹介します。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。