ドンキーの部屋

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【人体のしくみ】ホルモンとは? その種類と作用、働きをわかりやすく解説

どうもこんにちは影山と申します。今回はホルモンの作用や働き、それぞれのホルモンの関係性について紹介します。

目次


ホルモンの生理作用と働き


ホルモンとは、血液中に直接分泌され、関係する細胞に送り届けられることで少量で人体に大きな影響を与える物質です。
そして人体の慢性的な調節に重要な役割があり、これが少しでも狂うとそれに応じた症状が起こります。そしてその症状ことに病名が付けられています。

ホルモンは血液中に直接分泌されることから内分泌系と呼ばれます。
※外分泌系は消化酵素等が当たります。

内分泌腺には、下垂体、甲状腺副甲状腺膵臓、副腎、精巣,卵巣、松果体などがあります。また視床下部や消化管、腎臓は内分泌腺はないが、内分泌細胞がありホルモンを分泌します。

視床下部ホルモンの種類

視床下部ホルモンには下垂体前葉ホルモンの分泌を調節する放出ホルモン抑制ホルモンがあります。これらはその名の通り下垂体前葉ホルモンの分泌を促進、抑制するホルモンです。
そしてその下垂体前葉ホルモンには5種類あり放出ホルモンにはこの全てが、抑制ホルモンは2種類が分泌されます。

放出ホルモンの種類

・成長ホルモン放出ホルモン
・プロラクチン放出ホルモン
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
・副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
・性腺刺激ホルモン放出ホルモン

抑制ホルモンの種類

・成長ホルモン抑制ホルモン
・プロラクチン抑制ホルモン

下垂体ホルモンとは

下垂体は前葉と後葉に分けられ、それぞれの部位から作用の違うホルモンが分泌されます。

下垂体前葉ホルモンの種類と働き

前葉ホルモンは前葉の内分泌細胞で産生,分泌されます。

視床下部→血管→下垂体前葉→血管

・成長ホルモン(GH)
成長ホルモンは、発育期の成長を促進します。成長ホルモンの分泌は睡眠時に高まります。
主な作用は
・軟骨形成促進
・タンパク質合成の促進
・血糖値の上昇
脂肪酸の遊離
です。

※分泌異常
成長期に成長ホルモンの分泌低下が起こると小人症なり、分泌亢進が成長期に起こると巨人症、成人で起こると末端肥大症になります。


・乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)(PRL)
乳腺刺激ホルモンは主に女性において働き、その作用は
・乳腺の発達
・乳汁産生・分泌の促進
排卵の抑制
作用があります。
排卵の抑制は出産直後で乳幼児の育成時にそれは必要ないために起こります。


甲状腺刺激ホルモン(TSH)
甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの産生と分泌を促します。


・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
副腎皮質を刺激して主に糖質コルチコイドの産生と分泌を促進します。


・性線刺激ホルモン(ゴナドトロピン)(GnH)
細かくは卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体形成ホルモン(LH)に分けられますが、性腺活動を調節する作用を持つため2つ合わせて呼ばれる名も持ちます。

また卵胞も黄体も女性にしかありませんが、これはそういう名前のホルモンなだけで男性にも存在します。

・卵胞刺激ホルモン
女性において卵巣にある卵胞の成熟を促します。
男性では精巣にある精細管の発育を促し、そこで作られる精子の形成も促します。

・黄体形成ホルモン
女性では成熟した卵胞を排卵させて黄体形成を促ます。
男性では精巣の間質細胞に作用してテストステロン(男性ホルモン)の生成と分泌を促します。

下垂体後葉ホルモンの種類と働き

下垂体後葉ホルモンは視床下部で作られたホルモンが神経を伝い後葉に送られそこから分泌されるものです。ここでは2つのホルモンを紹介します。

・抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)
腎臓でろ過された水を集合管での再吸収を促進することで尿量を減らします。
多量の汗をかいたり、多量の塩分摂取により血液濃度が上昇し、浸透圧が上昇した時に尿量を減らし血液を薄める作用があります。

抗利尿ホルモンの分泌が多すぎると血圧を上昇させ、少なすぎると尿量が増加します。

※分泌異常
抗利尿ホルモンが少なくなり尿量が異常に増加した病態を尿崩症といい、喉の乾きやそれによる多飲などの症状が出ます。

オキシトシン
女性では、成熟した乳腺に作用して乳汁の排出を促します。また分娩時にオキシトシンの分泌が増加し、子宮平滑筋の収縮力を強め出産を促します。

甲状腺ホルモンの種類

甲状腺ホルモンには濾包細胞から分泌されるサイロキシンとトリヨードサイロニンがあり、主に甲状腺で作られるのはサイロキシンです。
そして正しくは甲状腺ホルモンには分類されないのですが、甲状腺の傍濾胞細胞からカルシトニンというホルモンも分泌されます。

甲状腺ホルモンの作用

・物質代謝の亢進
骨格筋や心臓,腎臓などの多くの臓器の酸素消費を高め、基礎代謝を亢進し体温を上昇させます。
その他物質代謝にも関わり、血糖値を上げてエネルギーを作り出す準備をします。これにより血清コレステロールを低下させてコレステロールを糖に変換したりします。

・発育促進
成長ホルモンの働きを助けます。

・精神機能刺激
甲状腺ホルモンが欠乏すると精神活動が鈍くなり、過剰になると興奮しやすくなります。

その他
甲状腺ホルモン以外のホルモンの働きを助ける作用もあります。

※分泌異常
甲状腺ホルモンの分泌増加でバセドウ病になります。
症状は痩せぎす、眼球突出、甲状腺腫大、骨粗鬆症などがあります。

また低下症は、慢性甲状腺炎が原因となるものが最も多いです。
これにより、寒さに弱く、疲れやすくなります。また無気力感や、思考力が低下します。
圧痕を残さない浮腫(むくみ)が特徴です。

・カルシトニン
甲状腺から出るカルシトニンは血中のカルシウム濃度を下げる働きがあります。骨にカルシウムを送り込んだり、腎臓に作用しカルシウムを捨てるよう働きかけます。
つまり骨の形成に深く関わるホルモンです。

副甲状腺ホルモンの種類と働き

副甲状腺ではパラソルモンという副甲状腺ホルモンを分泌します。パラソルモンは前述のカルシトニンとは逆に、骨と腎臓に作用して、血中のカルシウム濃度を増大させせます。その方法は骨からカルシウムを取り、また腎臓でろ過されたカルシウムを尿細管で再吸収を促したりします。
このような事から血液中のカルシウム濃度が低下するとパラソルモンの分泌が増加します。

※分泌異常
副甲状腺の機能低下によって血液中のカルシウム濃度が低下すると骨格筋が不随意的な収縮を起こし、この病をテタニーといいます。また、副甲状腺の異常な機能亢進により骨が脆くなり、骨が折れやすくなります。

膵臓ホルモン種類と働き

膵臓には内分泌細胞からなる膵島(ランゲルハンス島)と呼ばれる組織が散在していて、α細胞からはグルカゴン、β細胞からはインスリン、δ細胞からはソマトスタチンの3種類が分泌されます。

インスリン
インスリンは主に血糖値を下げる作用があります。血糖値とは単糖であるグルコースの血液中での多さを量るので、血糖値を下げるためには血液中のグルコースを減らす必要があります。そしてその方法は
・血中のグルコースの細胞内への取り込みを促進する。
グルコースをグリコーゲン(多糖)へ変換する。
グルコースの脂肪ヘの変換を促す。
アミノ酸の細胞内ヘの取り込み、タンパク質の合成を促す。

つまりインスリンは血糖値が上昇すると分泌が増加します。

※分泌異常
インスリンの分泌低下(感受性が低下)すると高血糖、そして糖尿病になります。

・グルカゴン
グルカゴンはインスリンとは反対に血糖値を上げる作用があります。
・肝臓でグリコーゲンからグルコースへの分解を促す。
アミノ酸グリセリンからグルコースを作るよう促す(糖新生)。
・肝臓の脂肪分解を促し血液中の脂肪酸を増やす

つまりグルカゴンは血糖値の低下で分泌を促され、血糖値が上昇することで抑制されます。

・ソマトスタチン
膵臓のソマトスタチンはα細胞やβ細胞に作用して上記2つのホルモンの分泌を抑制します。

※血糖調節
空腹時の血糖の正常値は70~110mg/dlで、膵臓ホルモンの働きによりこれを調節しています。
また、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけですが、血糖値を上げるホルモンにはグルカゴンの他にカテコールアミン(副腎髄質ホルモン)、成長ホルモン(下垂体前葉ホルモン)、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなどもあります。

副腎のホルモンの種類

副腎は内側の髄質と外側の皮質に分けられ、それぞれ違うホルモンを分泌します。

副腎髄質ホルモンの種類と働き

副腎髄質ホルモンには多くのアドレナリンと少量のノルアドレナリン、極少量のドパミンを分泌します。これら3つを合わせてカテコールアミンと呼ぶことも多いです。

生理作用と働き
副腎髄質は交感神経と深い関わりがあり、交感神経は闘争本能を刺激します。
副腎髄質ホルモンの中でアドレナリンとノルアドレナリンは交感神経が興奮した時に起こる反応を起こします。ドパミンの作用は現代医学では不明な点が多いです。
アドレナリンは心臓の収縮力と心拍数、心拍出量増加。そして肝臓でグリコーゲンを分解し血糖値上昇させます。
ノルアドレナリンは末梢血管(細い血管)を収縮することで血圧を上昇させます。

交感神経については↓で詳しく説明してくれている方がいます。
setagayanaika.com


※分泌調節
副腎髄質ホルモン分泌は、交感神経によって調節される。
ストレスに曝されたり、情動刺激時、血糖低下時や激しい筋運動時、ひどく寒い時などに交感神経の活動が亢進して分泌が急激に増加します。
このように緊急事態に陥ると交感神経が刺激されアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。よく闘争と逃走といわれ、行動に不都合がないよう準備に入ります。これを緊急反応といいます。

※分泌異常
副腎髄質ホルモンが過剰分泌されると、高血圧、心悸亢進、発汗過多、頭痛、悪心、嘔吐などの症状が出現します。また代謝が亢進し痩せやすくなります。代表的な疾患は褐色細胞腫です。
※とくにこれらは交感神経が刺激された時に顕著にみられます。

副腎皮質ホルモンの種類と働き

副腎皮質からは、数種類のホルモンが分泌され、特に糖代謝に対する作用の強いものを糖質コルチコイド、電解質代謝に対する作用の強いものを電解質コルチコイド、男性ホルモン作用を持つものを副腎アンドロゲンといいます。

・糖質コルチコイド
糖質コルチコイドの代表的な物質はコルチゾールです。

その作用は
・肝臓での糖新生を促進して血糖値を上昇させる。
・タンパク質や脂質の分解を促進する。
・炎症やアレルギー症状を抑える。
・抗ショック作用など、色々なストレスに対する抵抗力を高める。
・胃液の酸とペプシンの分泌を促進し、粘液分泌を抑制する。
※このためストレス等で糖質コルチコイド分泌増加が長期間になると、胃酸により胃壁が傷つけられて胃潰瘍を起こしやすくなります。

電解質コルチコイド
電解質コルチコイドの代表的な物質はアルドステロンです。

その作用は
・腎臓の集合管に作用してナトリウムの再吸収を、そしてカリウムの排泄を促す。
・ナトリウムの再吸収に伴い水分も再吸収する。そして血圧を上昇させる。

・副腎アンドロゲン
身体を男性化する作用があります。

※副腎皮質ホルモン分泌異常
副腎皮質機能が低下すると糖質コルチコイドと電解質コルチコイドの分泌が低下して、皮膚の色素沈着、低血圧、低血糖、ナトリウムの過剰排泄などがみられます。これをアジソン病と言います。

副腎皮質機能の亢進では各ホルモンの分泌過剰により様々な症候群を起こします。

クッシング症候群
糖質コルチコイドの過剰分泌によって起こります。満月様の丸顔や中心性肥満(体幹のみの肥満)となり、体内のタンパク質の減少、高血糖、高血圧、たんぱく質の減少や精神障害を起こします。

コン症候群
電解質コルチコイドの過剰分泌によって起こり、ナトリウムが増え、カリウムが低下します。そして高血圧や多尿、多飲などの症状を起こします。
※アルドステロンを多く分泌すると腎臓でナトリウムを再吸収し、水分も再吸収するため尿量は減少するのですが、血中のナトリウム濃度が増加し、それを薄めるために多飲、多尿となります。

精巣ホルモンとは

男性化作用を有する物質を総称してアンドロゲン(男性ホルモン)といいます。精巣から主に分泌されるアンドロゲンはテストステロンで、精巣の間質細胞から分泌されます。

生理作用
男性の第二次性徴の発現を促します。また、男性生殖器の発育を促進して機能を維持し、セルトリ細胞に作用して精子形成を促進します。
筋肉および骨基質のタンパク質合成を促進や性欲を亢進作用もあります。

卵巣のホルモンの種類と働き

女性ホルモンは卵巣で合成されるホルモンであり、卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどがあります。

・卵胞ホルモン
卵巣にある卵胞から分泌されるホルモンです。

その作用は
・卵胞の発育を促す
・卵管運動を高めて卵子の子宮腔への輸送を助ける
・子宮内粘膜の増殖を促す
・女性の第二次性徴の発現を促したり性欲を亢進させる
・骨において骨吸収を抑制し骨形成を促進する
があります。

・黄体ホルモン
卵胞は排卵後に黄体になり、そこから出るホルモンです。

その作用は
・子宮内膜の腺分泌を亢進して受精卵の着床を容易にし、妊娠を維持する作用
排卵抑制
・体温上昇作用
があります。

その他のホルモン

・消化管ホルモン
消化管からはガストリン、セクレチン、コレシストキニンなどが分泌されます。
詳しい作用は↓臓腑の働きで紹介しています。
donngy.hatenablog.jp


・腎臓のホルモン
腎臓からは、レニンとエリスロポエチンが分泌されます。
レニンはアルドステロン分泌を促進し、エリスロポエチンは赤血球の新生を促します。

松果体のホルモン
松果体からメラトニンが分泌されます。メラトニンは夜間に分泌が増えて日中低下します。このことから概日リズム(体内時計)の形成(調整)に関与するといわれています。

心房のホルモン
心臓にある心房からは心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンが分泌されます。これは血液量の増加により心房が広がったときに分泌され、腎臓に作用して水とナトリウムの排泄を促進させる作用があります。それと血管を拡張させ血圧を下げる作用もあります。

さいごに

今回はホルモンの作用と働きについて説明させていただきました。少しでも皆さんのお役にたったならば幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。